お金と心。

給料日前。お金が無い。
光熱費も家賃もカードも引き落としできなくて、仕事にならないからって
友達にお金を借りて、携帯代（貧乏なのに2台持ち）だけは払った。
今の財布の中身は2千円。3つ持ってる通帳の残高は、数百円。

なんであたしはいつまでたっても貧乏から抜け出せないのさ？
持ち金がないと、ついつい心が貧しくなってく気がする。
なのに店で飛び交う大金を見ると、やっぱり感覚が狂ってく。

3年前の夏、20歳のあたしはちょうどそん時、特定の彼氏がいなかった。
セックスしたい盛りで、暇さえあれば男と遊んでた。
大学に入学した頃のあたしは、家も自分も付き合ってる彼氏も超貧乏で、
お金さえあれば何でも手に入るような気になってた。

ハタチの夏に仲の良い女友達（美人）と、パークハイアットに泊まって
大きな窓から東京の夜景を見下ろした。
若くてちやほやされて、服とかお金とか欲しい物いっぱい手に入れてたのに、
未来の可能性だっていっぱい広がってるのに、全然幸せじゃなかった。
鏡の中を覗き込むと、金の亡者と化した、醜いあたしの顔があった。
このままじゃいけない、って何となくそう思った。

あれから3年経って、あたしも彼女もちょっとは成長した。
相変わらず学生で、水商売で、男運に恵まれないってのは変わってないけど、
世間知らずで勘違いして、妙な刺々しさは、少しはマシになってるんだと思う。

愛はいつか消えてしまう。だけどお金は裏切らないし、多くある方が
いいし、あって損するもんでもない。
お金はきっとあたしを幸せにしてくれる。
だけど、心が豊かじゃないと、その幸せを感じ取ることができない。
だからやっぱり両方必要ってコト。

3年の月日が経ち、あたしはあんまり変わってないけど、それがわかった
だけで十分なのかもしれない。